公益財団法人日本ボールルームダンス連盟

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学校学習とダンス

ボールルームダンス授業化研究モデル校 モデルB

(京都市立朱雀第一小学校の体育科学習指導事例報告書より抜粋)

1.単元

ラテン・アメリカン・ダンス

2.運動の特性

パートナーと合わせたステップで、軽快なリズムにのって踊り、手や目によるリードでパートナーと交流を楽しむ運動である。

3.伸ばしたい良さとめざす子ども像

  • 全体的に明るく元気な児童が多い。与えられた課題については しっかりと取り組むことができる。また「好きな教科は?」と聞くと「体育」と答える児童が多い。しかし実際、休み時間に運動場に出て体を動かしている児童 は多くない。体を動かすことが好きなのではなく、他の教科・領域と比べて「体育が好き」なのではないかと考えられる。そこで、一年間の体育の学習を通して 体を動かすことの楽しさに気づき、休み時間には外で元気よく遊ぶようになればと願っている。
  • 6年生になり、委員会活動やクラブ活動などでリーダーとして自主的に率先してがんばる姿がみられるようになってきている。反面、友達やグループの中では自分を表現できても全体の場では自分を表現できない児童もいる。また思春期になり異性を強く意識するようになってきた。
  • 本単元「ボールルームダンス」では昨年6年生の学習発表会で一緒に踊っているものの、実際に学習として取り組むのははじ めてである。そこで事前にバラエティ番組の社交ダンス部のビデオをみた。その後のアンケートでは、ダンスはおもしろそうだがステップが難しそうという感想 が多く聞かれたので、簡単なステップを簡単な音楽(リズム音)でくり返し練習し、ステップへの抵抗感を少なくしていきたい。また今回の学習では、ステップ や体の動かし方を学習することはもちろんのこと、ダンスや会話を通してコミュニケーションを深める活動を通して気持ちが通じ合う良さを感じさせたい。同時 にペア・グループで交流する中でお互いに見つめあったり・教えあったりなど関わりあいをさらに増やしていきたいと思う。

4.子どもから見た特性

パートナーとステップの組み合わせを工夫し、チャチャチャのリズムにのって踊り、パートナーとの交流を楽しむ運動である。

5.学習のねらいとみちすじ

学習のねらい

チャチャチャのリズムにのって踊り、ステップの組み合わせを工夫してパートナーとの交流を楽しむ。

学習のみちすじ

  • ねらい(1):手本のベーシックステップでリズムにあわせて踊り、ダンスを楽しむ。
  • ねらい(2):新しいステップを取り入れ、リズムにのって踊り交流を楽しむ。
  • ねらい(3):ステップの組み合わせを工夫して踊り、交流を楽しむ。

6.学習計画

第1時 第2時 第3時 第4時 第5時 第6時 第7時 第8時
はじめ ねらい(1) ねらい(1) ねらい(2) ねらい(3) ねらい(3)
ねらい(1) ねらい(2) まとめ

7.学習と指導の展開

学習のねらいと活動
指導・支援
評価の重点
評価の視点
(評価方法)
はじめ20分
ボールルームダンスについて知る。(映像・教師の模範) ボールルームダンスについて説明する。(ペアで踊る世界中で親しまれている。コミュニケーションを深めることができる。)
学習の約束を守り、友達と協力して学習をすすめようとする。
毎時(観察)
学習のねらいや計画を知り、学習のすすめ方学習カードの使い方について知る。
楽しく学習するための約束を話し合う。
学習の約束の意味と守ることの大切さについて気付かせ、約束を確認する。
学習資料などの使い方を知る。 ラジカセやビデオの使い方について知らせる。
グループで体慣らしをする。 体ならしはダンスにあったものにする。(今できるステップでダンスを踊る。)
なか25分+45分×6+25分
ねらい(1)
手本のベーシックステップでリズムにあわせて踊り、ダンスを楽しむ。
マナーに気をつけて踊る。 マナーや約束が守られ、楽しい雰囲気で学習が進められているか観察し、できていなければ、マナーや約束について話をする。 マナーを守り、ダンスを楽しもうとしている。
(観察)
いろいろな曲で踊る。 基本のステップをチャチャチャ・2・3で踊れているかを観察し、できていない児童には手拍子をいれたり、できている児童を見せたりして、リズムが取れるようにする。 チャチャチャ&2・3のリズムで踊ることができる。(観察)
ねらい(2)
新しいステップを取り入れ、リズムに乗って踊り、交流を楽しむ。
今できるチャチャチャのステップを組み合わせて友達と楽しく踊る。 組み合わせを考えながら踊れない子があれば、ベーシックステップを間に入れると踊りやすいことを伝える。 コミュニケーションをとりながらステップを組み合わせて踊っている。
(観察・カード)
新しいステップに挑戦し、グループの友達と教えあいながら楽しく踊る。 なかなかステップを踏めないでいる子には、一緒に踊ったり、ビデオやコンピューターの動画を見たりして、リズムを取れるようにする。 ステップを身につけるために、資料を活用したり教えあったりしている。 (観察・カード)
得意なステップと新しいステップを組み0合わせ、繰り返し踊って楽しむ。 お互いに見合い、教えあいながら学習を進めていくことが、楽しさにつながる事に気付かせる。 3~4種類のステップを組み合わせて踊ることができる。(観察・カード)
パートナーを替えながらリズムに乗って楽しく踊る。 多くの人と交流することの楽しさを経験するために、関わりの少ない人から踊るように伝える。 たくさんの友達と進んで踊ろうとする。
ねらい(3)
ステップの組み合わせを工夫して踊り、交流を楽しむ。
グループ内でステップの組み合わせを工夫しながら音楽に合わせて楽しく踊る。 あらかじめグループで組み合わせを勧化手から踊ってもよいことを伝える。
コミュニケーションをとりながらリードやフォローを楽しんでいる。 ステップが合わなくなってきたときはベーシックステップに戻るとよいことを伝える。
まとめ20分
学習を振り返り、ボールルームダンスの良さやみんなと仲良く楽しめたことについて話し合う。 交流することの楽しさや気持ちよく人と関わることについてなどこれからに生かすことができるような意見があればみんなに紹介し、広めるようにする。 学習を振り返り、友達との関わりの大切にしようとする。
(発表・カード)

8.本時のねらい

新しいステップを取り入れ、リズムに乗って踊り、交流を楽しむ。

9. 本時の学習と指導の展開(第6時)

学習のねらいと活動
指導・支援
評価
はじめ10分
・準備・体慣らしをする。
・今できるステップで踊る。
前時までの学習したことを振り返りながら踊る。
・活動場所が確保できているか確認する。
・体慣らしは、グループごとではなく全体で行う。
なか27分
ねらい(2)
新しいステップを取り入れ、リズムに乗って踊り、交流を楽しむ。
・グループで話し合いながら、挑戦するステップを選ぶ。
<ステップ>
・ニューヨーク・ハンドトゥーハンド・アンダーアームターン等
・新しいステップがわからず、新しいステップの練習に入るのに時間のかかるBグループには、ビデオやコンピューターの動画を一緒に見ながら一緒に踊って示す。
・リズム音ではリズムがとれるが、音楽になるとリズムが取れなくなるA児には一緒に音楽を聴きながら手拍子(2・3・チャチャチャ)をうちリズムを確認する。
[思]ステップを身につけるために、資料を活用したり教えあったりしている。(観察・カード)

・友達と教えあいながら新しいステップに挑戦する。
・手や上半身の工夫をする。
・パートナー同士で同じ高さに手を伸ばす。(ハンドトゥハンド・ニューヨーク・背筋を伸ばし、足元をみない)
・最後に踊るダンスの組み合わせを相談し、練習する。
<組み合わせの例>
ベーシック→ハンドトゥーハンド→ベーシック→ニューヨーク→ベーシック
ベーシック→ニューヨーク→スポットターン→ベーシック等
・新しいステップを組み合わせてダンスを楽しむ。

・友達にアドバイスをしている児童がいればほめる。
・手や上半身の工夫をしている児童はその場でほめ、自信をもたせる。
・組み合わせを考えながら、友達と踊っているか観察し、困っているペアがいれば、間にベーシックステップを入れると踊りやすいことを助言する。
・できていないマナーについては正しいマナーを助言する。
まとめ8分
・みんなでダンスをして、学習を振り返り、次の時間のめあてを話し合う。 ・学習のまとめとして、細かいステップにとらわれず、音楽に合わせて楽しく踊り、学習をふり返るように伝える。

10. その他

    • グループは、人間関係を中心に考え学習がスムーズにいくよう教師が決めた。
    • 体ならしの運動は、学習内容が進むにつれて変化させた。
ねらい(1): 2人でステップの確認をしながら踊る。(リズムオンリー)
ねらい(2): 新しく学習したステップで踊る。(音楽)
体ならし(既習のステップ)→新しいステップの練習→学習の振り返り
ねらい(3): 今までに学習したステップを組み合わせて踊る。
体ならし(既習のステップ)→組み合わせの相談→組み合わせて踊る→学習の振り返り
  • 男性がリードする意識をより持たせるために、ベーシックステップをオールタナティブベーシックにした。
  • ビデオやパソコンの説明が聞こえるように、CDデッキの位置をなるべく班の近くに置くようにした。

11. 授業を通して子どもたちの様子

  • 初めてする学習であったので、はじめは消極的に取り組んでいた子もいたが学習内容が分かってくるにつれてこれまで行ってきた学習の流れとかわりがないことが分かり積極的に取り組めるようになった。
  • 日ごろの体育では、運動経験の差からなかなか目ただない子が経験の差が少ない本単元では、いい動きが目立ち注目されるようになった。
  • 単元に入る前から、男女の仲は決して悪くはなかったが、ボールルームダンスの学習を通して、以前に比べてお互いのことを考えながら行動できるようになった。
  • パソコンを効果的に活用しながら学習できるようになった。
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